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診療案内 百日咳

【百日咳とは】

百日咳菌の感染による主に呼吸器系の感染症です。乳児期に接種する3種混合(DPT)或いは4種混合(DPT-IPV)に含まれています。
接種をしていても4〜6歳頃には抗体価が低下するためかかりやすくなります。
大人の百日咳が多くみられ、乳児にうつしてしまうことが問題になっています。
発症2週間以内に治療を開始しないと症状の軽減は難しく、4週間以内に開始しないと家族内への感染の予防はできないとされています。

 

【感染様式】

通常飛沫感染、接触感染により伝染します。どの年齢でも感染します。

 

【潜伏期】

6〜21日、通常7〜10日です。
咳症状が出始めてから2週間ほどは感染能力があります。乳児で予防接種が未接種の場合は6週以上感染能力があると言われています。

 

【症状】

年齢、予防接種の有無により症状が異なります。日本は百日咳を含んだワクチンの接種率が高いため、典型的な症状を呈する児は少なくなっています。いずれの年代でも熱はほとんどでません。

 

1)ワクチン未接種児

通常風邪症状で始まります(カタル期)。新生児期、乳児期早期には無呼吸発作が認められることもあります。1〜2週間たつと乾いた激しい咳が発作的にしかも連続的に出てきます(スタッカート)。咳が終わり息を吸う際に笛を吹くような音が聞かれます(whoop)。これらの症状は夜間に多く、咳で吐いたり、顔が真っ赤になったりします(百日咳顔貌)。このような症状が3〜6週間くらい持続し、その後2週間くらいで回復してきます。

 

2)ワクチン接種児及び成人

長引く咳で判明することが多いです。
特に成人は家庭での乳幼児への感染源になることが問題になっています。

 

【診断・検査】

小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017
小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017
検査では遺伝子検査(LAMP法)が一般的です。
インフルエンザの検査と同様に患児の鼻に棒を入れて検査します。結果が出るのに2〜4日程度かかります。
採血して百日咳抗体を測定することもありますが、回復期にもう一度検査(採血)することが必要なことも多くあります。
百日咳は保健所に全例報告しなければなりません。診断がついた場合には予防接種歴を含め色々なことを伺うことになります。

 

【治療】

治療にはマクロライド系の抗生剤(エリスロマイシン、クラリス、ジスロマックなど)が使用されます。
多くの場合は長引く咳で見つかるため、抗生剤を飲んで周囲への拡散を防ぐことはできても、咳の症状が軽くなる効果は低いことが多いです。エリスロマイシンなら14日間、クラリスロマイシン(クラリス)などなら7日間、アジスロマイシン(ジスロマック)などでは3日間飲むことが必要です。

 

【予防】

3種混合あるいは4種混合ワクチンを接種することが必要です。
4〜6歳で百日咳の抗体価が低下しかかりやすくなるため、2018年8月に改定された日本小児科学会の予防接種スケジュールでは、5〜6歳で3種混合とポリオワクチンを任意で接種することを推奨しています。
また、11歳〜12歳で接種する2種混合ワクチン(DT)も将来的には百日咳を含む3種混合ワクチン(DPT)に変更すると思われます。
現在ではこの時期の3種混合ワクチンの接種は可能ですが、任意接種となります。

 

【合併症】

合併症としては肺炎、肺高血圧症などがあります。
咳による硬膜下出血、結膜出血、ヘルニアも生ずることがあります。
咳がひどくなると低酸素血症を生じ、けいれん、脳症、無呼吸発作などを引き起こし死に至る場合もあります。

 

【登園・登校基準】

抗生剤治療を介してから5日経てば登園登校が可能となります。

 

【参考にした本】

1) Red Book: American Academy of Pediatrics
2)小児感染症マニュアル 2017 日本小児感染症学会編
3)小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2017 日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会編

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