先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome: CRS)

【先天性風疹症候群とは】
風疹に対して免疫のない特に妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染し、胎内感染によって生まれてくる赤ちゃんに障害が起こる病気です。
先天性風疹症候群をモチーフにした小説にアガサ・クリスティ「鏡は横にひび割れて」があり、エリザベステーラー主演「クリスタル殺人事件」と言う題名で映画にもなっています。主人公で女優役のエリザベステーラーは苦労の末妊娠します。しかし、風疹に感染した彼女のファンである婦人は病気にかかっているにもかかわらず、それを隠して会いに行ったことで、エリザベステーラーは精神薄弱の子どもを産むことになります。やがてそのファンと再会することになり、自分の風疹感染の原因を知ったエリザベステーラーは彼女を殺害するというストーリーです。怖いですね。
先天性風疹症候群の発生は0にしなければなりません。
【頻度】
妊娠3ヶ月までの妊婦さんが感染すると発生率が高く、妊娠1ヶ月で50%、2ヶ月で35%、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%程度と言われています。前述のとおり不顕性感染もあるので、症状がなくともCRSが発症する場合があります。
【症状】
代表的な症状には難聴、先天性心疾患、白内障があります。また、発達の遅れなどの症状も認め、早くに亡くなってしまったり、障害を抱えてしまうこともあります。軽症の方は治ることもありますが、CRSの子どもは長期にわたり風疹ウイルスを排出するため、保育園などの集団生活を断られる事もあります。
胎児感染をしていても出生直後には症状がなく見落とされることがあります。遅れて白内障・難聴・末梢性肺動脈狭窄などがあらわれる先天性風疹感染(congenital rubella infection: CRI)と呼ばれています。
【診断】
先天性風疹症候群を診断したら届け出の義務があります。届け出の基準には臨床診断と検査診断が有り、どちらも必要です。
① 臨床症状
1) 白内障または先天性緑内障、先天性心疾患、難聴、色素性網膜症
2) 紫斑、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、X線透過性の骨病変、生後24時間以内出現した黄疸
典型例は、「1」から2項目以上」あるいは「1」から1項目と2)から1項目以上」
軽症例は、1)あるいは2)から1項目以上
② 検査診断(いずれか1つ以上、出生後の風疹感染を除外できるもの)
ウイルス分離同定(咽頭ぬぐい液、唾液、尿)
PCRによる遺伝子診断(咽頭ぬぐい液、唾液、尿)
IgM抗体の検出(血清)
HI抗体価/月の低下率が2分の1未満(血清)
【治療】
根本的な治療はなく、全て対処療法となります。
【参考にしたもの】
Red Book 2015 American Academy of Pediatrics
小児感染症マニュアル 2017 日本小児感染症学会編
国立感染症研究所 職場における風疹対策ガイドライン
クリスタル殺人事件 アガサ・クリスティ