【耳の構造と役割】

耳は大きく分けると、3つの部分から成り立っています。

①外耳:耳介から鼓膜の外まで(外耳道):耳介で音を集めて鼓膜まで音を運ぶ道になります。
②中耳:鼓膜からアブミ骨まで:鼓室という部分で耳管を通じて空気の出し入れをすることにより、鼓室内圧を調整し、正しく音を伝える手助けをしています。鼓膜に伝わった音は鼓膜を振動させ、図に示すツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と音を増幅させていきます。
③内耳:蝸牛、三半規管;内耳はカタツムリのような形をした蝸牛の中にあるリンパ液を揺らし、それを電気信号に変換して蝸牛神経(聴神経)を通って脳へ音を伝えます。三半規管の中にもリンパ液があり、その流れにより体の回転を感知して脳へ伝えます。

【中耳炎とは】

中耳に炎症がある状態です。多くの場合は咽の微生物(細菌、ウイルスなど)が耳管を通って(血液を介して生ずることもあります)中耳に炎症を起こします。耳管の傾斜が緩やかな2歳未満に好発する傾向があります。
また、保育園に行っているこどもは行っていないこどもに比べかかりやすいと言われています。
中耳炎には急性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎などがありますが、ここでは急性中耳炎についてお話し致します。日本では急性中耳炎というと耳鼻咽喉科で見てもらうことが多いですが、アメリカでは小児科が診る病気になっています。

【中耳炎の診断】

中耳炎の診断、重症度、治療に関するガイドラインは色々あり、それぞれ微妙に異なっております。特に日本小児耳鼻科学会のガイドラインと日本外来小児科学会のガイドラインでは考え方が大きく違います。
ここではアメリカ小児科学会のガイドラインを中心にお話をしたいと思います。

① 鼓膜が中等度以上に膨隆している場合、または、耳漏が新たに出現している
② 鼓膜が軽度膨隆しており、かつ、48時間以内に始まった耳痛・耳を気にする仕草を認める場合、または、鼓膜が強く発赤している

①②の場合に急性中耳炎と診断します。つまり、中耳に滲出液の貯留(鼓膜の膨隆)のないものは急性中耳炎と診断できません。

【中耳炎の起炎菌】

・インフルエンザ桿菌
・肺炎球菌
・モラキセーラ カタラーリス

【症状】

発熱、耳痛、耳だれなどです。
小さい子は耳の痛みを訴えることができないため、機嫌がわるくなる、耳を引っ張るなどの症状が出ます。

【治療】

痛みがあるのであれば、それを抑える治療が強く勧められています。つまり、アセトアミノフェン(カロナールなど)かイブプロフェン(ブルフェンなど)を使用します。
以下の場合に抗生剤を投与します。

①以下のサインがあるときは重症を示唆します。
・中等度以上の耳痛
・48時間以上持続する耳痛
・39℃以上の発熱

②2歳未満の患児で上記の重症ではないが両側性の場合
以下の際には、抗生剤を投与するか、経過観察とするか、保護者と相談して決める事になります。経過観察した場合には48〜72時間後に確実に再診察をすることになります。
・2歳未満の患児で重症サインがなく、片側の場合
・2歳以上で重症のサインがない場合
中耳炎と診断されても軽症の場合は3日間様子をみるのが一般的です。必ずしも抗生剤必要ではありません。

【抗生剤】

初期には原則ペニシリンを使用します。特に理由がなければセフェム系やその他の抗生剤は投与しません。
上記の治療で改善しなかった場合の治療は点滴による治療や鼓膜穿刺などを考慮します。

治療を開始したら48〜72時間後に経過を観察します。2歳未満では一般に10日間、2歳〜5歳で重症でなければ、7日間投与でも良いとされています。また、6歳以上で重症でなければ5日間投与でもよいとなっています。(日本小児耳鼻科学会では重症度に関係なく5日間投与が原則になっています。)

【参考にした文献】

The Diagnosis and Management of Acute Otitis Media Pediatrics 2013