【食物アレルギーとは】

食物アレルギー診療ガイドライン2016では「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」とされています。
また、その侵入経路は問わないとなっています。
つまり、以前問題になった、小麦を含んだ石けんを使用したことによりアレルギー症状が出たのは口からではなく皮膚から体内に抗原が侵入したことになります。
免疫学的機序を介さないものとしては、牛乳で下痢する乳糖不耐症や食中毒、食物の中に入っている物質が直接人体に症状を起こすものもあります。

【食物アレルギーの種類】

1)新生児・乳児消化管アレルギー:血便下痢などの激しい症状で発症します。ミルクによることが多いとされています。

2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

3)即時型症状:じんま疹、アナフィラキシーなど

4)特殊型:食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)、口腔アレルギー症候群(OAS)

【症状】

1)皮膚症状:湿疹、かゆみ、じんま疹など

2)粘膜症状:眼球結膜、鼻粘膜、口の中に起こることにより充血、涙が多くなる、まぶたが腫れる、鼻水が増える口の中の違和感など

3)呼吸器症状:のどの違和感、声がかれる、咳、ゼーゼー、胸部圧迫感、呼吸困難など

4)消化器症状:吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、血便など

5)神経症状:頭痛、不穏、意識障害、失禁、活気の低下など

6)循環器症状:血圧低下、頻脈、徐脈、不整脈、四肢冷感、蒼白など

最も多いのは皮膚症状です。

【アナフィラキシー】

「アレルゲンの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されています。
アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックと呼びます。

【原因食品】

年齢により原因食品の頻度が異なります。

海外にくらべてソバといくらが多いのが特徴的です。

【診断と検査】

1) 問診:疑われる食物を食べてからの時間的経過、症状の重さ、家族歴、栄養方法、薬の服薬の有無などを聞きます。

2) スキンケア指導や軟膏塗布により湿疹を改善させた上で、血液検査、皮膚検査(プリックテスト)などを行います。しかし、これらの検査はあくまでも参考で確定診断に至るものではありません。

3) 確定診断は食物経口負荷試験になります。しかし、アナフィラキシーショックなど重篤な症状が誘発される可能性があるため、緊急対応が可能な態勢(複数の医師、入院施設など)を整備して実施することが必要とされています。
現に食物負荷によりなくなった患者さんが報告されています。

【治療】

「正しい診断の下に必要最小限の除去」が原則です。
つまり、「心配だから」「念のため」という理由で除去をしない、「除去が必要なものでも食べられる範囲で食べていくことが望ましい」とされています。
しかし、学校、保育園では誤食の可能性があるので完全除去が勧められています。また、お変わりの際に誤食が多いので禁止です。

【経口免疫療法】

経口免疫療法は原因となる食物(アレルゲン)を食べさせることにより治療する方法です。
一定の効果が認められていますが、2016年のガイドラインでは一般の診療としては推奨していません。
治療の過程で即時型反応を多くの例で認め、予期せぬアナフィラキシーを含み重篤な症状を誘発することがあるからです。
現時点では臨床研究として、ある程度以上の病院で行う治療です。
また、タマゴ、牛乳、小麦、大豆などは自然寛解が期待できるので、3歳くらいまでは除去が原則だと考えます。

【予防】

食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されています。
そればかりでなく、母親の栄養状態に対して有害であります。

また、ハイリスク児に対して特定の食物の摂取開始時期を遅らせることは、発症リスクを低下させることはなく、推奨されていません。

ハイリスク児には新生児からのスキンケアがアトピー性皮膚炎のはっしょうをよぼうする可能性があると報告されています。
ただし、食物アレルギーの発症予防効果は可能性はあるが、証明されていません。

【自然歴】

乳児から幼児早期の主要原因食物であるタマゴ、牛乳、小麦、大豆は食べられるようになる可能性(耐性化)が高いと言われています。
アナフィラキシーの既往や検査データがとても悪いほど耐性化が低いともいわれています。
それに比べて、その他の食物は耐性化が低い傾向になります。